二、参拝・祈願について

1.お参りに手を洗う(手水をする)のはなぜ?

日本人は古くからみそぎはらいを行って来ました。

みそぎは川や海の水に身をひたすことです。水によって身を洗い清め、罪・けがれを除くことです。

祓いは度合いに応じて科料かりょう(償いもの)をさしだしたり、祓えるものに移した罪・けがれを投げ捨ててこれを取り除こうとするものです。

みそぎは私的に行われることが多く、はらいは公的に行われましたが、今日では特に区別せずに行われています。この禊を簡略したものが「手水」というわけです。

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2.お参りに拍手をする(柏手かしわでを打つ)のはなぜ?

上代には手を打つことが挨拶でした。今日でも礼手らいしゅと言って手を1つ打つ作法があります。

例えば、お参りする際に手水を行う前、お参りした後の御神酒おみきを戴く場合、更には食事の前などにも行います。そこで神前では最も古い挨拶を行っているということになります。

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3.祝詞のりとには種類があるの?

古くは祝詞には複数の呼び名がありました。

  • 一つ目は、神様に申し上げるもので「称辞たたえごと」と言いました。神様のお力をお讃えしたことからこう呼ばれました。
  • 二つ目は、お籠りの際に唱えたもので「護言いわいごと」といいました。
  • 三つ目は、占いの結果を読み解いたもので「詔刀のりと」と呼ばれました。
  • 四つ目は、お祓いに用いられるもので「祓詞はらえことば」といいました。
  • 五つ目は、天皇陛下に申し上げるお祝いの言葉で「寿詞よごと()」と呼ばれました。

これらをひとまとめにした呼び名と表記とが「祝詞のりと()」です。

上記にて解るように本来は願い事を言い立てるものではありませんでしたが、現代では奈良・平安の古語を用いて参拝者の祈願を神様にお取り次ぎする内容が中心となっています。

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4.自分で祈るのと神主さんが祝詞を上げるのとでは違いがあるの?

違います。神様に物事を申し上げるには、それなりの作法や言葉遣ことばづかいがいります。この場合の作法を「祭式さいしき」と呼び、言葉遣いを「祝詞のりと」と言います。

祭式では神様に礼儀を尽くすために作法の取り決めがあります。祝詞では古語に大きな意味を持ちます。そこで奈良時代以来用いられた大和言葉によって申し上げる内容を綴ります。その表記法には宣命せんみょう書きと言って、語幹(語の核となる部分)を大きい字で記し、送り仮名や慣用語尾を小さい字で書く方法が用いられます。今日の漢字仮名混かなまじり表記の先駆けとなったものです。

古く一般の神社では「当屋とうや」「神役しんやく」「年番ねんばん」「一年神主いちねんかんぬし」などと言って順番に神主を務めたのですが、次第に専門職化されました。祭式や祝詞を駆使くし出来なければ務まらなかったためです。

そこで神主の上げる祝詞は厳密であるという点で、各自のものとは異なると言えます。

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5.祝詞ではどんなことを言っているの?

大まかには、神様にお守り頂いていることへの「感謝・報告ほうこく(結果を申し上げる)」と、「願い事」の二つから成り立っています。

主に大和言葉(奈良・平安時代の日本語)を用います。古くは神話を語ったり、神徳(神様のお力)を申し上げたり、呪文じゅもんを唱えたりする内容でした。

言霊ことだま」と言って言葉の力によるため、大祓詞おおはらえことばのように言葉によって祓いをおこなったり、出雲国造神賀詞いずものくにのみやつこのかむよごと中臣寿詞なかとみのよごとのように長寿を言祝ことほぐ例もあります。

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6.賽銭箱さいせんばこはいつごろから、何故あるの?

由来はよく解りません。中世期以降のものらしいです。

「賽」は室町時代の辞書に見える語で、むくまつるという意味ですから、神仏への感謝に捧げる金銭を納めたものと言えます。意味は今日でも同じです。

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7.何でも祈れば叶うの?

「いのる」という言葉は「い」と「のる」から出来ています。

ここでの「のる」は内に秘めていたものを外に表すといった意味があります。「い」はそれを強める語です。そこで「心中に思いを詰めていた事柄を神様に申し上げる」ことが「いのる」の本来の意味ということになります。

正しい願い事であれば、早いか遅いかの差はありますが必ず叶えられましょう。よこしまな願いや道に外れたものは叶いません。

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8.学問の神様に病気平癒を祈っていいの?

神様は人々が幸せであることをお喜びになります。農作物が豊かに実りそれぞれの生業なりわいが順調であるよう、四六時中しろくじちゅう見守っていらっしゃいます。

そこで原則的には正しい祈りであれば神様はお聞き届けになるはずです。

不摂生ふせっせいの結果病気になったからと言って、これを祈ってもかなうかどうかは保証の限りではありません。ただし納得できる理由があればお聞き届けくださるはずです。

さて天神様に病気平癒を願うということですが、神様のお力に限りがあるはずはありません。

そもそも天神様は恐ろしいたたりの神様でした。それが学問の神と信じられるようになったのは江戸時代のことで、寺子屋に関わる人々が祈願したことから始まるようです。

神威しんいいちじるしい神様ですから、道理に適いさえすればお聞き届けにならぬはずはありません。

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9.お礼参りはしなければいけないの?

はい、したほうがよいでしょう…。

お世話になった方があれば御礼にうかがううのは当然です。まして神様に願い事をしたのですから、せめて結果だけでもお知らせすべきです。

成就した願いであるなら報賽ほうさい(感謝・御礼)をするのが筋というものです。

願掛がんかけ」をした場合は「願解がんほどき」をしなければいけません。

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10.「願解がんほどき」って何?

神様に願い事をするのが「願掛がんかけ」。その願いが成就した場合や不要になった場合は「願解がんほどき」をしてけじめをつけます。

電話やパソコンでさえ、年中繋ぎっぱなしということは有り得ません。用件が済めば受話器を置き、画面を閉じます。いずれにしても神様にお願いしたままというのは失礼極まりないということになります。そこで「願解」を行います。「報賽ほうさい」もほぼ同じ意味の言葉です。

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11.絵馬には何を書いてもよいの?

正しいこと・明るいこと・建設的なこと・希望的なこと・などであるのがよいでしょう。

頑張ったこと・不正なこと・暗いこと・破壊的なこと・絶望的なこと、取り分け呪いのたぐいはいけません。神様がお嫌いになります。

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12.古いお札やお守りはどうすればいいの?

お住まいの近くの神社に納めるとよいでしょう。お守り、お札はちがう神社で頂いたものでも構いません。神社に持って行くと「古札収め所」があります。ここに収められた神札は「御焚おたき上げ」を致します。

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13.神棚は作らないといけないの?

神棚がなくても神札おふだをまつることは出来ます。大切なことは神様の御分霊みわけみたまを身近な所でおまつりするということです。そのためには不浄を避け、作法にかなった形でおまつりする姿勢が大切になります。

細かな点は地元の神社にご相談下さい。

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14.祈りの意味は?

「祈り」は「祈る」という語の名詞形です。「いのる」は「い」と「のる」とからできています。「のる」とは「物を言う」という意味です。これを強めて「い」を付けたのが「いのる」です。その「のる」には【内に秘めたことを外に表す】という意味があります。

切なる願いはまさに【秘めた思い】です。それを神様にだけ申し上げるので、特に強めて「いのる」と言ったのです。つまり「いのり」とは『思いを口に出すこと』にほかなりません。

ところで、古くは今日のように願い事は言わず、神様のお名前だけを唱えたこともあります。神様のお名前には御神徳(神様のお力)が現れていると感じたためです。もちろん今日のようにも祈っています。ただし、報賽ほうさい(有り難うございましたの意)が主流だったようです。

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ご連絡先

〒038-0002 青森県青森市沖館5-5-5 TEL:017-763-0788 FAX:017-771-0070
駐車場:神社前専用駐車場及び境内地内 開扉時間:6時〜18時


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